うゆです。
ちくわの穴の向こう側にはワンピースの正体がありました。ここでは言いません。
発表お疲れ様会と銘打って、友人3人で大学近くのサイゼリヤで飲んだ。演劇をやっている人と、詩を書いている人。私以外はきちんと公に評価もされている。私は無名の薄ら凡愚だ。
マグナムボトルを囲んで1品料理をつまむ。これで1人900円行かないくらいだった。訳が分からないよ、サイゼリヤ。
レヴィナスの話をした。
「顔」と「無限責任」。レヴィナスはユダヤ人でユダヤ教徒だったので、その哲学の根底にはタルムードの教えがある。ユダヤ教では、行為の実践を通して神に近づくことが目標とされるのだが、レヴィナスはそれを自身の哲学に援用し、我々は他者に対して無限に責任を感じるべきであるとした。
これは別に他人に滅私奉公しろとかそういう話ではない。とどのつまり、他者に対して常に何か自分が行為できることを探し続けろということを言っているのだ。他者(顔)とは完全には理解不可能なものであって、その違いを認め、他者との関係性の中で自分の在り方を確定させるというのがめちゃくちゃ簡単に言ったレヴィナスの思想である。
レヴィナスの場合は少し極端に聞こえるかもしれないが、「生きてるだけで偉い」なんてほざいて自己愛ばかりが肯定されるようになってしまったこの世の中に、まず他者への行為を人間関係の出発点とする思想は結構必要なんじゃないかと思う。私も含めてだが、自分は他者を許さないのに、他者には許しばかり請おうとする風潮が強い気がする。自己啓発本のタイトルとかを見ていても思う。『「そのまま」の自分を生きてみる』『感情を出した方が好かれる』。どういう人生を歩んでいたらエゴイズムと円滑な人間関係が両立すると思うのだろうか。「ケア」という共同体のあり方が叫ばれて久しいが、あれはとどのつまりヤマアラシ同士がお腹をぴったりくっつけあっているだけに過ぎず、その外側にはぎらぎらと鋭いトゲがちゃぁんと並び聳えているのだ。他者との交流は結局加害である。その運命からは誰しも逃れようはない。それならばせめて、他者に対して責任を感じ続けようと試みること、それこそが社会という人間の存続のあり方においては誠実な態度と言えるのではないだろうか。ケアは確かに極小の共同体の中では「優しさ」として作用しうるかもしれないが、それは所属する共同体の外にある人間を敵対するマスとして記号化し、加害の責任を負わせようとする卑怯な試みと言うべきだろう。
このようにして管を巻き、果てに泥酔し、みっともない千鳥足になった我々はサイゼリヤを出た。1人はこれから読書会に行くという。今から?どうやら世の中には不思議な時間に不思議な場所で不思議なことをしている人々というのが存在するようだ。あ、Newtypeもそうか。
その日、私は数年ぶりに電車を乗り過ごした。
それも人生で3度目くらいの経験だった。1度目は本を読んでいて、2度目はスマホをいじっていたので、酔って寝落ちしたのははじめてだ。
「終電を乗り過ごして変な駅まで行ってしまった」という設定の動画をYouTubeでたまに観るのだが、その絶望感が多少理解できたような気がした。私の場合はベッドでぬくぬく寝転がりながら過酷な状態にある人を見る優越感、とどのつまりデスゲームを観戦する金持ちみたいな心情をもってそのような動画を観ているのだが、今後はその解像度がまた一段あがることになると思うので楽しみだ。
デスゲームの観戦といえば、例えば福本伸行先生の『賭博黙示録カイジ』なんかでも鉄骨渡りにお金をかけて観戦する金持ちたちのシーンがあるが、果たして我々は彼らを本当に野蛮と糾弾できるのだろうか。結局のところ、我々もカイジたちの様子を手に汗握りながら漫画というかたちで観戦しているわけであって、為す術もなく過酷な状態に置かれた人々の様子を見て楽しんでいることに変わりはない。あの金持ちたちは、漫画内において相対化された読者たち自身の姿にすぎないのだ。といっても現実と創作では全く違うんだろうけど。私は漫画でこそカイジを楽しく読んでいるが、現実にあったら悲鳴をあげて帝愛グループの商品をすぐに投げ捨ててしまうだろう。
ここで帝愛グループとは一体何をしている会社なのか気になって調べたら、カジノやリゾート開発を表の顔、悪質な消費者金融をグレーの顔として金融サーヴィスの全般をになっている会社なのだそうだ。名前は知っているけど何をしているか知らない会社というのはたまにある。
「にっしんぼー、名前は知ってるけど〜♪」
というCMがあったが、あれもそうだ。結局何をしているのかは知らない。どうせ全部やっているんだろう。
今日のアルバム
ゆらゆら帝国『Sweet Spot』
ゆらゆら帝国の中でもかなりサイケのニュアンスが強い1枚。めまいとしびれのあとで、ここから伝説の『空洞です』に繋がっていく。実験的というか、変な歌が多い。ノイズまみれなので個人的には聴きづらいが、嫌いなアルバムではない。
ホラーイヴェント。
ちさとのお母さんのお姉さんの妹の子どもはちさとではないらしい。
あや生誕。
あやは丸つけを必ず茶色のペンでやる。
せりにゃん生誕。
せりにゃんはフランスの存在を否定している。