うゆです。
ういなさんが手動5輪の意味不明な乗り物の免許を無事取得したらしいので、お祝いしてあげてください。
最近、また夢を見られるようになった。
相変わらず目の焦点は合わないし、手つきもおぼつかないので色々なものを床に落としてしまう(この前はせりなのカフェラテをぶちまけてしまった)が、体調は少しづつだが確かに整ってきている。
高田馬場に新しく家系のラーメン屋さんができたから行こうと友人に誘われたのでついて行った。彼はアルバイトをしていないので所持金が全部で500円しかなく、誘われた側なのに私が奢ることになった。仕方ないとため息をつきつつも、彼は最近第1志望の企業から内定をもらったばかりだったので、チャーシューとライスもつけてあげた。ちさとのいう「義理と人情」とやらである。
ラーメンは武蔵家系の油っこいもったりとした食べ応えで、私好みの味だった。個人的に吉村家、及びその直系の、カエシの効いた鋭い味はあまり好みではないので、高田馬場でまた違った系統のラーメンを楽しめるのはかなり嬉しい。
大学の男友達と顔を合わせると、大抵キャンパスの近くにある家系ラーメン屋の悪口を言ってしまう。有名系列の本店で、土地柄常に弊学の学生で行列ができているのだが、そのためか彼らはもうそれはそれはあからさまな殿様商売を敷いているのだ。例えば、客は食事中にスマホを見ることができない。あまつさえイヤホンも禁止である。友人のひとりは、食べている間にスマホで時間を確認したところ、すぐに目ざとい店主に睨まれてしまったのだという。彼曰く、あと少し長く触っていたら怒鳴られるくらいの剣幕だったらしい。
そんなわけで、座席は常に緊張感に満ちている。緊張しながら、客はズバズバ麺を啜っている。しかし、しかしである。店員はその反対にものすごく「自由に」働いていやがるのだ。店員のほとんどは弊学の学生バイトで、彼らは店長と常に大学の女の話をしている。「この前のギャル、いけた?」とか、「あの女の子たち、〜サークルで、左の子は〜の元カノらしいっす」とか、常にラーメンが不味くなるような話題を的確に提供する最悪のラジオ番組を繰り広げてくれる。(今、これを書いている途中に、電車の向かい側の席に座っていた女性が吐いた。突然膝に抱えていたGUの紙袋を開き、顔を埋めて思い切り。)また、大手サークルの生徒が客として来ると、サークルの裏事情なんかをまたべらべらと語り出す始末である。(両隣の男性がそれに気づき、目を見開いて慌てて席を立った。)本当にどうしようもない店だ。(女性は哀れにも正気に戻ってしまったようだ。)ああ、語り出すと止まらない。(紙袋の角には穴が空いているので、そこからガーゴイルよろしく吐瀉物が前方に飛び出してくる。)
空調は乏しく、店には夏に限って入口付近に簡素な送風機が取り付けられる。(周囲にはほとんど人がいなくなった。私は見かねて彼女にティッシュとビニール袋を渡した。)簡素なので、涼しいのはその近くの席だけである。(彼女は紙袋を丸め、靴や服に飛び散った吐瀉物をなんとか掃除しようと四苦八苦している。)この店のすごいのはここからだ。(ティッシュが足りなくなったようなので、私は彼女と目を見合せ、新しいティッシュを放ってよこした。彼女はキャッチに失敗した。無理もない、泥酔した彼女の三半規管は宇宙船に乗ったモグラの100倍もおぼつかないのだ。私は手刀をきった。)なんと店員は大手サークルの生徒にだけ付近の席を案内しやがるのだ。ほかの客は店の奥、沈黙した熱気の永遠に淀み続ける夏の底のような空間で、滝のように汗を流しながら一生懸命麺をすする。入口付近に置かれた水とライスを取りに行くとき、せめて送風機の前をできるだけゆっくりと通り過ぎようと頑張るのが関の山である。その横で、大手サークルに所属しているというだけで店における特権階級を保持している薄ら凡愚どもは、涼しい顔で(文字通り、涼しい顔で!)悠々とやわめ、うすめ、少なめのふざけたラーメン並をすすっている。なんという不平等!なんと醜悪な人間社会の地獄!ブルデューのディストピアここに極まれり。(電車は終点に到着した。抱えきれないほど大量のポカリスエットをポロポロと落としながらおぼつかない足取りで降りる女性。)私はこれが許容される世界に生まれたこと、それ自体が恥ずかしくてならない。(ペットボトルを預かった。隣ではやはり泥酔した中年男性が靴と靴下を脱ぎ散らかして深い眠りに沈んでいたが、助けなかった。本当に助けなければならない人は、助けたいと思うような姿をしていないのである。)
店主の圧政、店員の放蕩、横並びの客席に構築される実に劣悪なヒエラルキー。(ペットボトルを捨てられる場所を求め、ターミナル駅をさまよう2人。)止まらない値上げ、Twitterにおける店主とアンチ(なんでいるの?)のレスバトル、日によって乱高下する味のクォリティ。(平身低頭詫びる女性。「いや、天国にいくための善行ポイントを稼がせてくれてありがとうございます!」と訳のわからないことを言う私。)本当にとんでもない、世界で最悪の店だと思う。(彼女の乗る電車はホームの先、濃密な夜を包む闇へと溶けて消えた。)しかし、私はその店へ少なくとも週に2回は通っているのだ。理由は「近いから」というのが一番だが、それ以上に、どうしてかあの店を愛さずにはいられない自分を、必ず自分の中に発見してしまうのだ。それはどうしようもなくヤンチャで性格も終わっている不良の息子を、それでも献身的に愛そうとするいじらしい母親の姿に似ている。どんなにダメで、ひどいことをされても、その根本には抗いようのない愛がどっしりと横たわっているのだ。といえ、私はこれを美談にするつもりはない。大切にされた子どもは親を大切にしなければならない。その店がいつか改心して、全ての客に対してオープンな、いつでも美味しくラーメンを啜れるお店になってくれることを願ってやまない。
今日のアルバム
Daïtro『Laisser vivre les squelettes』
フランスのロックバンド、Daïtroの代表作。エモ系(エモーショナル・ハードコアのこと。決して”エモい”が売りのシャバい国産シティポップのことではない。)の激しい演奏と歌声が、よくできたラーメンのスープと麺のように見事に絡んでとめどない高揚感を生む。ただ歌詞はフランス語なので全く分からない。
あや生誕。
あやは次回のコナン映画の脚本を担当する。
せりにゃん生誕。
せりにゃんはドミニカならぎりぎりビザなしで行ける。
ちさと新衣装お披露目。
ちさとは寝れずに2那由多匹まで羊を数えたことがある。