うゆです。
ブルジュ・ハリファより高い建物を知っています。
ちょっと課題に追われていて更新が滞っています。必ず追いつくのでお待ちください。
今の自分に絶望したとき、私はきまって来世のことを考えることにしている。それで何かが解決するのか、そもそも来世など存在するのか、そういった問題はとりあえず置いておくとして、生まれ変わったらどんな生き物になりたいかという問いについて熟考するのはなかなか楽しいものだ。
10年くらい前だったと思うが、人気番組『世にも奇妙な物語』の中に「来世不動産」というエピソードがあった。高橋克実演じる主人公の男が、死後の世界で「来世不動産」の看板を掲げる奇妙な建物に行きつくのだが、そこは死者が今世こなした善行を数値化したうえで、貯めたポイントに応じて転生できる生き物の選択肢を提示するというサーヴィスを請け負っている組織だった。例えば、動物園のパンダは高得点、すなわち高い徳を積んでいることが必要で、反対にドブネズミなんかは生存の過酷さゆえ得点の低い死者に振り分けられるという具合である。そして、主人公の男はそれほどいい行いをしていなかったために、寿命や楽しさといった優先事項を職員とすり合わせながら、あたかも物件の内見をするように様々な動物の生を体験していくのだった。
主人公の最終的な選択、ペーソスの滲む結末など、非常にユニークで寓話的なこの作品は、監督と脚本、不動産屋の役をすべてバカリズムが務めていて、同様にバカリズムが脚本を務める2023年放送のドラマ『ブラッシュアップライフ』と一部の内容を同じくしていることから、彼自身なかなか気に入っている作品であることが伺える。
私がこの作品を観たのは小学生のころだったが、それ以来、来世について思いをめぐらす度に、来世不動産の世界観に則ってあれこれ考えている自分を発見する。生まれ変わるなら牧場の牛がいいな、でも自分にはポイントが高すぎる気がするな、という具合に。そのことを踏まえつつ、私の現時点における、そして将来的に獲得しうる自分の善行ポイントを鑑み、志望度順に3つの転生先をリストアップしてみたいと思う。
第1志望(チャレンジ枠):レッサーパンダ
第2志望(現実的な併願校):イワナ
第3志望(滑り止め、センター利用):ミツバチ
第1志望、レッサーパンダについては言わずもがなだ。やはり憧れるのは哺乳類。ふわふわと愛らしい体躯につぶらな瞳、レッサーパンダとして愛される生涯を送ってみたいものである。そのうえ、この動物は現在絶滅が危惧されており、国際的な取り決めによって保護が推奨されているため生存も比較的容易であると考えられる。また、風太くんというレッサーパンダから聞いたところでは、ちょっとやる気を出して立ち上がるだけでみんなの人気者になれるようだ。そうなればご飯も山ほどもらえるようになるらしいのでぜひ挑戦してみたいところだ。
ただ、やはりレッサーパンダになるために必要な善行ポイントは圧倒的に高いだろう。今の自分では到底手が届かない物件であるはずなので、信号無視や不法侵入などに気をつけつつ、老人を積極的に助けるなどして地道にポイントを稼いでいきたい。
第2志望はイワナ。一見地味な物件に思えるかもしれないが、さすがは渓流の王、天敵がいないのだという。それに、木漏れ日の差す透き通った渓流をイワナ仲間とともに悠々と泳ぎ、ときどき追いかけっこやかくれんぼを楽しむ一生は結構悪くないんじゃないかと思っている。上記の理由に加え、寿命もまあまあで、競争もそれほど激烈ではないことを鑑み、志望するに至った。
しかし、イワナの主食はユスリカやトビケラなどの水生昆虫であり、食事が少々気持ち悪いことが最大のネックである。また、人間の存在も見過ごせない。渓流釣りを楽しみに来たおじさんなどに釣られてしまえば一巻の終わりだ。生きたまま腹を裂かれ、串刺しにされて焼かれ、最後は骨も残らず食べられてしまう。そんなのはゴメンである。というわけで、メリットもデメリットもそれなりにあるイワナが現在合格可能性の比較的高い物件であると考えている。
第3志望はミツバチ。多くの昆虫と同じく多産小卵の繁殖モデルをとっているが、社会的動物である側面が強く、生存戦略はk戦略寄りで成長はある程度容易だ。ミツバチの場合、何より生きる目的が決まっているのが良い。ただ何も考えず一生かけてハチミツを集めて回っていれば良くて、どこに就職しようだとか、自己実現がどうだとか、そんなつまらないことを考える必要もない。1匹のミツバチが一生のうちに集められるハチミツの量はちょうどスプーン一杯分程度に留まるらしいが、それだけ集められれば大したものだ。いい人生(?)だったと心安らかに逝けるはずだ。
しかし、虫である以上羽化したたあとの生存は非常に厳しい。ハチミツを集めている間に他の虫や鳥、爬虫類などの生物に食べられてしまう可能性も高いし、巣が侵略されたら「熱殺蜂球」で侵略者を排除しなければならない。あれは年上のミツバチが致死率の高い球の内側に入るらしいが、しれっと逃げたり外側にいったりしたらやっぱりミツバチ仲間からはハブられてしまうんだろうか。そこのところは内見で確かめてみるしかない。今では絶対に読むことはないが、小さいころは百田尚樹の小説をちょくちょく読んでいて、その中でも『風の中のマリア』という本が印象に残っている。虫を中心とする生き物の世界を擬人化した物語で、主人公はメスのオオスズメバチだった。女王のために働き、何度も窮地に陥り、最終的には繁殖のために使い捨てられる悲しい主人公。あの生き方はあまりにも悲しかった。人間もそうじゃないのかという議論は置いておいて、虫はやっぱり難しいのかもしれない。ただ、ミツバチは人間に家畜化してもらえる場合もあるので、その期待値を含めれば十分志望するに足る物件かと思われる。
私のくだらない妄想は日々このようにして行われている。みなさんも来世はどんな生き物に生まれ変わりたいか考えてみてください。
今日のアルバム
Pink Floyd『Atom Heart Mother(原子心母)』
ベストに並ぶくらい大好きなアルバムだが、ぶっちゃけほとんど1曲目ばかり聞いている。23分の中に静けさがあり、怒りがあり、死があり、祭りがある。それはアリの一生、あるいは人の一生、あるいは地球の一生、あるいは宇宙の一生、あるいは浮かぶ泡沫の一生である。限りない凝縮と拡大を同時に表象する万象の原子心母だ。
ういなさん生誕、今週末!
ういなさんはデデデ大王と5回タイマンしたことがあり、現在はトータルで引き分けている。
ホラーイヴェント。
ちさとは鏡とジャンケンをすると必ずあいこになる。一生終わらないので今もやっている。
せりにゃん生誕。
せりにゃんは一蘭の2倍の量のラーメンを提供するラーメン店「二蘭」に週三回行く。
あや生誕。
あやの前世はボラ。